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Epiphone Casino ネック折れ Gibson J-50 ネックリフィニッシュ Fender Stratocaster スキャロップ加工

リペア依頼が増え、作業が追いつかなくなってきました。 依頼件数増加にブログが影響しているのは明らかですが、パソコンに向かっている以上、リペア・製作の作業時間減に影響する諸刃の剣。 今月はありがたい事に県外からの依頼が多く(特に北日本)、忙しくさせて頂いております。 そういえば、岩手県からの依頼が1件有った後、立て続けに岩手在住のお客様からお問合せをいただきました。 ネットの仕組みがよく分からないのですが、局地的に検索エンジンにヒットしやすくなるのでしょうか…? では、今週行った作業の一部をご紹介させて頂きます。↓ しばらくこんな感じでブログを上げようかなと… 手抜きじゃありませんよ!まとめる時間が…ないんです。

エピフォン カジノ。 ジョン・レノンの1965再現モデル。

ネックにヒビが走っています。 折れ自体は2度目との事。 2箇所のヒビが見受けられますが、画像下段のヒビが1度目。 マホガニーネックなので折れてしまうのある程度仕方のない部分でもありますが、折れたにしては激しい打痕や木部破損がヘッドに見受けられません。 薄いネックシェイプに対しトラスロッドの調整口が深く形成されている事により、衝撃に対する強度が不足していると考えられます。 補強+隠蔽塗装で強度回復を行う運びに。

割れ自体は広く入っていますが、亀裂の終点部の木材が耐えている為、割れ口に対して力を入れても破損部は僅かに開くのみ。 破損部へのアクセスが制限される為接着剤の塗布が困難となり、補強無しで通常強度に達する接着は不可能な状態です。 とりあえず破損部へ注入可能な接着剤を使用し、作業に耐えうる強度を確保しました。

補強の為に木材を継ぎ足すスロットを掘ります。 最深部は、ヘッドトップの突き板が露出するまで深く。 まずは第一の補強(ひび割れのサポート)

彫り込んだスロットぴったりに成形したマホガニーをタイトボンドで圧着。 余談ですが、最近タイトボンドの種類を変えました。 オリジナルからIIIに。

IIIの方が気温・湿度に左右され難い感覚があり、接着強度も申し分無し。 技術者により好みが分かれる部分ですが、今後木部破損系の修理にはIIIを使う事にします。 次の作業が行いやすい様、ネックに合わせ補強材を成形。 第2の補強でこの部分はごっそりくり貫くので、粗めの加工で良しとします。

第二の補強は母材の強度不足の解消を目的とします。 トラスロッドギリギリ、目一杯に掘り込みを入れ、補強材の接着面積を稼ぎます。

こちらも同じくマホガニーを削り出し補強材とします。 補強材には基本的に、貼り付けを行う母材と同種の材を使用します。 単純に木材同士を比較した場合にはメイプルの方が強度はありますが、異種材同士の接着は強度を出しにくく安定性が有りません。 メイプル+マホガニーの接着では、塗布量に関わらず多孔質なマホガニーに接着剤が吸われてしまい、圧着〜乾燥時の接着剤に僅かな流動が起き、脆いまま乾燥してしまう事がよく起こります。 この様な事から、僕はマホガニーの補強としてメイプルを使用する事は稀。 3方向で母材と接地する様な補強を入れる場合にはメイプルを使用する事もたまーにありますが、そういった場合にはあえて補強材を緩めに成形し、エポキシで充填接着してしまいます。

仮にクランピングし、母材と補強材の密性を確認。 見える部分は横からチェック。

見えない部分は型を付けます。 補強材に蒸気を当て、僅かに木肌を毛羽立たせます。 この状態で先ほどの様にクランプで締込みを行うと、母材に押し付けられた部分の毛羽立ちが寝てくれます。

写真ではわかりにくいですが、実物は結構はっきり差がわかります。 毛羽立ちが寝ている部分→密性有り。 毛羽立ったままの部分→隙間有り。 以前はカーボン紙を挟み、圧をかける事でのマーキングを行っていましたが、カーボン紙自体の僅かな厚みによる狂いや、単純に汚れが鬱陶しい等の理由により(カーボン紙高い…)今はこの方法がお気に入りです。 補強材仕込みに掛かる時間のほとんどがこの作業で占められるほど微妙な加減を要する工程ですが、完全な密性を確保しない事には強度が出ません。 じっくり、しっかりと。

接着に必要な密性を得る事ができましたら接着面の洗浄・脱脂。 これも接着剤に100パーセントの仕事をしてもらう為の必須作業です。

たっぷりのタイトボンドとたくさんのクランプで接着します。 接着剤は塗りすぎくらいが丁度良い程。 はみ出たボンドは水を使うと綺麗に拭い去れますが、むき出しの木部に吸われ境目の接着剤が薄まりますので程ほどに。 母材・補強材共に、接着材塗布後(オープン時)に少し間を置き馴染ませるのも大切です。

気温25℃で丸一日が目安ですが、気温が下がったタイミングでしたので丸2日安置後、クランプを解きます。 高強度の接着にはそれなりに手順を踏む必要がありますが、まだ真冬よりも手法を簡略化できる季節なので楽です。

成形。

ボリュートを残し成形が完了しました。

質量増による強度不足の解消を目的とした補強材仕込み、さすがに2箇所の補強となると塗装修正を行わないと成立しません。 こちらは今現在、塗装中でございます。

お次はメキシコフェンダー。 新品購入したてギターへのスキャロップ加工を行います。

フレットも交換。 純正フレット、まさかもう抜かれるとは思っていなかった事でしょう。 スキャロップ指板といえばイングウェイ。 イングウェイに習い、ジム・ダンロップ♯6000への交換も同時にご依頼頂きました。 ナットはもちろんブラス(真鍮)。

指板修正を行い加工開始です。 新品ですがネックには僅かにねじれが発生していました。 深めのスキャロップ加工を行う為、いらない木部が多く、良く研いだ丸ノミで荒成形中。 指板面に限らず、木材は加工を行うと反る性質があります。 ネックの動きを注意深く観察し、指板面の平均性を保つ作業も同時並行で行いながら作業を進めます。

フレットを打ち込みながら形を作っていきます。 一つ一つのフレット間で指板を加工を行い全体の掘り込みを合わせますので時間はかかりますが、無心になれる作業なので時間はあっという間に過ぎます。 もう打ち込みは完了していますので、こちらも現在塗装中。 最後に以前ブリッジ剥がれをご紹介させていただいたギブソンJ-50。

象牙ナット製作。

象牙は、芯に近い部分を使用し製作しました。 良く言われる"象牙特有の縞模様が〜"は根元付近、外皮に近い部分。 ひび割れが多く脆い傾向があり、象牙の品質として実は等級の低い素材です。 当工房で使用するのは、先端付近、芯に近く縞模様がほぼ無い部分。 素材構成密度が濃く、実印に使用される素材です。

ボロボロだったネックもオールラッカーで塗り直し。 目止めのフィラーの調色も合わせ、ビンテージ個体の質感を大切に塗り上げました。

亀裂が入っていたストラップピン穴〜ヒールに関しても補強。 多数ご依頼頂いておりましたのでサービスでの施工でしたが、うまく処理出来ました。 ビフォー画像を撮影し忘れているのが唯一のミスです…

塗装状態が非常に良い個体でしたので軽く磨き上げ。 飴色ってこれの事やな…とうっとりする様な質感。 三重県のお客様でしたがわざわざご来店頂き、お土産にと赤福をお持ちくださいました! 小学校の修学旅行以来久しぶりに食しましたが、変わらぬ上品なお味。 家の冷蔵庫に入れておいたらほぼ嫁が食べましたが、実家(宇治)から送られてきた玉露との相性に、これ以上無い幸福を感じました。

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