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アンプ故障の中で多い症状が、「電源が入らない」、「電源は入るが音が出ない」の2つです。
この症状の原因の大半は、ヒューズです。
よく「ヒューズがとんだ」なんて会話を耳にしませんか?
楽器用アンプに限らす、電化製品のほとんどに、この『ヒューズ』という電子パーツが使われているのではないでしょうか?
定格以上の電流が発生したとき、ヒューズが焼切れ、回路をシャットアウトします。
シャットアウトすることで、大切な電子回路に大きな電気が流れての故障を、未然に防いでくれています。
お家についている、ブレーカーなんかと同じ役割です。
では、ヒューズ交換の様子をご紹介します。


EDENのWTP-600です。
電源は入るが、音が出ない状態です。
ヘッドホンアウトは問題なく鳴るということでした。
デザインとして、簡易な回路が描かれている機材がありますが、結構助かったりします。
バラしていきます。


出力不良ということで、スピーカーアウトを疑ってみましたが、問題なさそう。
ヒューズも見た感じ切れてなさそうです・・・。


一応外して、テスターチェック。
導通していません・・・。
切れているということですね。シャットアウト!!
大概の場合は焼け焦げているので、見てすぐにわかりますが、たまに目視では確認できないこともあるので、テスターでの確認が必要です。

正常なヒューズは0Ωになります。

ヒューズにも種類がいろいろあります。
許容電流やサイズの違いだけでなく、スローブローと呼ばれる、過電流が一定時間流れることで切れるものもあります。
一方、ホームセンターや車屋さんなんかで売られている一般的なものをファストブローと呼びます。
ギターアンプでは、少し強い電流が瞬発的に流れることはよくあるので、スローブローを使くことが多いです。
守るためとはいえ、ことあるごとにぷつぷつと切れてしまっては、安定した使用ができなくなってしますので。
ある程度の許容範囲ということにはなりますが、選択を間違えると常に回路に負荷がかかってしまうので、パーツ選びは慎重に。


新しいフューズを取り付けて、復活です。
同時期に同じご相談があったので、合わせてご紹介します。


マーシャルJCM2000。
こちらのアンプは、バラさなくてもヒューズチェックができるようになっています。
MAIN FUSEというのは、電源の入口に取り付けられているヒューズです。
コンセントから大きな電気が流れてしまった場合に、アンプに電気を流すことなくシャットアウトします。
お城の門番のような役割。
HT FUSEは真空管など、電力を増幅する心臓部を守っています。
お姫様の部屋の前にいる警備のようなものです。
今回は、電源は入るが音はでないので、HT FUSEがあやしい・・・。


マイナスドライバーで簡単に取り外せます。

左が取り付けられていたヒューズ、 右が正常なヒューズ。
見比べると、
左は黒くなっていますね。
テスターで測るまでもなく、焼け焦げています。

ファストブローがついてましたが、スローブローに取り替えて完了です。

数種類のヒューズを持っていると、イベント会場なんかで役にたつかもしれません。
また、自分のアンプにはどんなヒューズがあっているのかを気になる方は、お気軽にご相談ください。
ご覧いただいた通り、ヒューズ交換は難しい作業ではありません。
誰でも簡単に行うことができます。
しかし、大切なのはとんだヒューズを交換することではなく、なぜとんだのか、原因を究明することです。
緊急時にご自分で交換して使用されることは仕方ないかと思いますが、その後必ず専門家の元で点検を行ってください。
また、頻繁にヒューズが飛ぶからといって、安易に耐久電流をあげるようなことはやめてください。
アンプの故障や、大きな事故に繋がります。
安全に、安心して機材をお使い頂ければと思います。