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  • 秋元

フレット交換 Gibson CustomShop ES-335 Rickenbacker 360


フレイムの美しい、ギブソン カスタムショップ製335。 カスタムショップのワインレッドは透明感があってかっこよろしいですな。

ギブソンは伝統的にフレッドエッジにバインディングが被さる様に成形しますが…

ここに1弦が引っかかり、演奏しにくいとの事。 一般的にオーバー(フレット)バインディングだとかエッジカバードだとか言われている工法ですが、正式名称がはっきりしません。 "オーバーフレットバインディング"で検索すると、フレットがバインディングに被っているもの・いないもの両方にこの名称が使用されており、業界全体で表現に苦戦しているのが現状でもあります。 ぶっちゃけそこまで重要な事でもないと思いますので、もうフレットエッジバインディングとかでいいんじゃないでしょうか。 伝統は尊重すべきであると思いますので否定はしませんが、演奏性に重点を置くと百害あって一利なしと言えるこの仕様。 この個体の様に弦落ちや引っかかりが発生しやすい事に加え、この仕様を残したままのフレット交換は高額になる事等から、フレット交換の際に削り落とす方法を選択するユーザーが殆どではないでしょうか。 純正仕様として採用し続けているのはギブソン位なものですので、好きな人は好きなのでしょう。 かくいう僕も大好きなのですが。 今回はバインディングを削り、指板の一部としてバインディング上にもフレットを被せた施工を行いますが、もちろんエッジバインディングを残した交換も承っております。

余談ですが、最近お預かりするギブソン カスタムショップ製個体の指板研磨が少し荒い様な…

これとかは完全に木部の欠けですね。

ビンテージ意識なんでしょうか…? レギュラーラインの方がまだ綺麗に仕上げがなされている様な気がします。

フレットを抜き、まずは指板面の研磨をしっかり行いましょう。 新品に近い個体ですので、指板Rやネック反りでの狂いはそれほど。 比較的質の高い指板材が使用されているので、仕上げの荒さを解消すると見栄えもより増すでしょう。 現在指板研磨→新フレット打ち込み待ちです。 今週中には打てるでしょうか、もうしばらくお待ちください! おつぎは…

こちらもリフレットでお預かり。 リッケン 360。 本当にかっこいい!ぞくっとする造形美… 主観ですが、リッケンのデザインは天才的だと思います。他の何とも似つかない、他メーカーの影響を感じさせないギターとして、気を衒うでもなく、丸く収まるでもなく。 正統派な異端児。

異端児的要素、ローズウッド指板への塗装。

以前、ブログにオベーションのブリッジ剥がれの記事を載せましたが、このリッケンも同じく常識の通用しないメーカーだと思います。 ローズウッドと記載しましたが、正確には"ブビンガ"と呼ばれるアフリカの木材。 アフリカンローズウッドとも呼ばれますが、一般的なローズウッド(インドローズ等)よりも赤みを帯び、油分は少なめ、粘りはなく硬質な材です。 ボディトップに貼り付けるトーンウッドとしてハイエンドベース等で採用されることの多い材ですが、他のマメ科の木材と同じく導管が荒く、決して塗装し易い材ではありません。 フレットが打たれることでただでさえ塗装を施しにくい指板面、メイプルなど木目のおとなしい材だとそこまでの苦労はしませんが、ブビンガなんて導管の荒い材を使用しているが故、相当量の塗装を吹き付けなくてはなりません。 もう一度上の画像をご覧いただくとなんとなくイメージしていただけると思いますが、塗装の吹き付け量が多すぎる為、フレットが塗装に埋まった様になっている個体がものすごく多く、せっかく背の高いフレットを使用しても塗装で埋まった部分はフレットとして機能せず意味がありません。 擦り合わせ等でフレットの高さが下がると、すぐに指の腹に塗装(指板)が当たる様になってしまい演奏性に悪影響。塗装でフレットが埋まっている事でフレット交換までのサイクルが短い上に指板塗装で料金も高額、ランニングコストの悪い仕様でもあります。

あとこれも有名、2本入ったトラスロッド。 これはどうやってもしっかり効きません。 2本入ったロッドに対し、ストッパーが1つ。 1方を締め込む→ストッパーがシーソーの様に傾き、もう一方は緩む…。 理論的には、永久に反りは修正出来ません。 上での例えは少し極端で、実際には気持ちちょびっと作用しますが、構造上指板への負荷がすごく強いので過度な締め込みは避けるべきです。 ネックの自力、反り耐性に期待しましょう。 この360、フレット交換・再塗装等、もう殆どの作業が終了しております。

指板塗装なしもお選び頂けますが、リッケンと言えば指板塗装が無いとなんだかなあ。 外観・音色共に、指板塗装がある事が大きく作用しているので、その部分は尊重した作業が望ましく思います。 純正仕様に敬意を払い、目痩せの無い様塗装の吹き付けはしっかり行いますが、フレットが埋まってしまうと前述の通りよろしくありませんので慎重に。 リペアは作業対象の楽器を製作したメーカーの意思を尊重しなければならないと考えています。 製作はそれこそ「ぼくのかんがえたさいきょうのギター」でいいと思いますが、他メーカーの個体にまで不必要に我を詰め込む事はありません。 設計・製造を行ったメーカーをリスペクトしつつ、「これと同じ事をこうやればもっと良くなる」を少しだけ加えてやる、そんな修理を行う事を目標に。 もちろん、メーカーの設計ミスや、作りの悪さは積極的に排除しつつ。

現在は指板面の磨きを終え、ナット製作待ちとなっております。 もう少々お待ち下さいませ!

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