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フレット交換 Fender Japan ST

May 18, 2016

 

 
何度かすり合わせを行ったであろう痕跡があり、最適な状態からは程遠いフレット。


いきなりですが、フレットは消耗品です。
1〜2度であればすり合わせで持ちこたえられない事もないですが、良い楽器ほど新品のフレットを基準に高精度で設計されています。
お持ち込み頂いた楽器を拝見させていただくと、演奏により摩耗したフレットにより音質・機構がスポイルされている個体をよく見かけます。
判りやすい所では、フレットのビビリ。少し突っ込んだ所では、ピッチのズレ、アタックのキレ等…

仕事柄当たり前ですが、新品のフレットに触れる機会が圧倒的に多い身からすると、少し残念に感じる事もしばしば。
決して安い金額ではありませんが、交換する方が良い結果につながる事が多くあります。


今回のご依頼は指板Rの変更も含んでいます。
ビンテージフェンダーを踏襲した7.25inというキツめのRから、現代的な9.5inに。
シェイクスタイルで運指をされるお客様ではなかったので、低い弦高設定下でのチョーキング時の音詰まりの軽減を狙い、ゆるい指板Rに変更します。

 

 

摩耗し劣化したフレットを抜き取ります。

チップ(木欠け)が出ない様、慎重に抜き取ります。
メイプル指板のチップは、絶対に防がないといけません。絶対に!
 

 
古いフレットをすべて抜き取りました。
 

 
指板Rを変更します。
7.25in→9.5inまで。


♯100のペーパーを使用し、指板の頂点をザックリ落とします。
 

 
9.5inのゲージを当てるとこんな感じ。
まだまだ削らないといけません。



 

 

もうすこし…!


 

 


ぴったり。

指板Rが9.5inになりました。


 

 

指板研磨を終え、新たなフレットを打ち込みます。
もとい、押し込みます。

打つと浮くので、押し込む派。


 

 
フレット打ち→すり合わせ→エッジ整形→磨きを終えたフレット。

機構的にはほぼ完成していますが、ここからは美観の回復作業です。
ローズウッド指板であればここで終わり。弦を張ってセットアップですが、メイプル指板の個体は一手間かかります。
塗装を削り落としているので、再度指板に塗装を行わなければいけません。

 

 


これに…

 

 
調色したこれを…

 

 

ぷしゅーっと。

54STをリイシューしたモデルでしたので、純正塗装はヤケたラッカーを模したアンバー。
純正塗装が残っているネックグリップ部、ヘッドを参考に調色したヤケ色を塗布し、色合わせを行います。



 

 
メイプル指板の場合、作業の都合上フレットを打ち込んだ後に塗装・着色を行いますので、当然フレットにも塗装が乗ってしまいます。

フレットに乗っている塗装を除去します。

 

 

カッターナイフで指板 / フレットのキワをなぞり、塗装を切ります。
フレットや指板に少しでも傷が入ると修正が困難ですので、塗装のみ薄くカットしなければなりません。


 

 
あとは、ぺりぺりっと。


 

 

フレットは前工程で完璧に磨いているので、塗装は食いついていません。
少しでも磨きが甘いと塗装が定着してしまい、このように綺麗に剥がす事が出来ず、作業がやり難くなります。

作業性の良さは仕上がりに直結する部分です、準備8割とはよく言ったものです。


量産品ではこの工程が粗く仕上げられている事が多く、フレットに塗装が多量に残留している個体がちらほら。
20数本ありますが、一本一本が弦の振動を伝える重要なパーツです、可能な限り異質なものを残さない作業が必要だと考えます。

指板!塗装!フレット!!!と、各部位が意味ありげに存在し共存しなければならない部分です。
 

 




 

 

取り外していた各パーツ・ボディを組み込み、ナットを作ります。

フレット交換の際、必ずナット交換も併せて行います。
新品のフレットに合わせ、最適な設定で製作。

 

 
ナット製作と同時に、トラスロッド調整、弦高調整、オクターブピッチチューニングを行い、セットアップ。
元々低音のボケが少ないすっきり締まった出音でしたが、フレット交換により軽快なアタック音がプラスされました。
シンイングルコイルが得意とする帯域の情報量が、交換前のそれとは比べ物になりません。

低く設定した弦高も物ともせず、テクニカルな演奏にすんなり対応出来る仕上がりとなりました。

ご依頼いただき誠にありがとうございます!
ご満足いただけましたら幸いです。

 

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