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フレット交換 Gibson J-50

April 17, 2016

 

 


各部の仕様から60年代中頃だと思うのですが、ビンテージなj-50。
シリアル見るのを忘れました!
 

 

 
ギブソンアコースティックを代表するモデル "J-45"のナチュラルバージョンとして位置するモデル、ナチュラル(無着色)での仕上げに対応すべく、J-45よりも上質なTOP材が使用されているとかいないとか…


 

 
びっしりと入ったウェザーチェックが歴史を感じさせます。
打コンや黒ずみ等も相まって、付け焼き刃のレリック加工では醸し出せないホンモノの雰囲気。

 

この個体自体、今までに何度かお預かりさせて頂いており、定期的な基本調整に加え、ブリッジ剥がれの修正やブレイシングの浮き修正等、古い個体ならではの修正をご依頼頂いておりました。

以前より、フレットの磨耗が激しい事で交換をオススメさせて頂いておりましたがタイミングが合わず騙し騙し使用されていた様。
季節的な事もあるのでしょうか、ネックの反りとの複合で、フレットのバズ音が無視できるレベルではなくなったとの事で、入院。

 

 

この様な状態。

 

 

サイドの処理を見ると、純正フレットの様。
ここまでの浮き+磨耗はなかなかですが、半世紀持った事に敬意を払いながら抜き取ります。
頑張った、純正フレットくん!!

 

 
フレットを全て抜き取り、指板のレベリング。
大きく狂いの出た指板の平面 / Rを修正する作業を行いました。


指板はブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)。
ワシントン条約で流通が厳しく制限されている超高級材で、ほとんど枯渇状態です。
指板材だけでウン万円の値がつく事もあり、あまりお目にかかる事がないので、それはもうテンションが上がります。
油分、高度共に理想的な材質、何よりも木目の高級感に暫く見とれてしまいました。

 

フレットを打ち込み→すり合わせ→磨き→指板オイルで保湿。

ハカランダ。
…おおぅ。


 

 

ハカランダ。
…ほほー


ウチにも制作用でハカランダのストックがあるのですが、前述の理由から気軽に使える代物ではありません。
そもそも、ここまで上質なものが素材として存在しているのかすら疑問です。


いいなあ。








 

 

フレット交換に伴ったナット交換の他、劣化したサドルの交換をご提案させて頂きましたので、先に加工を行います。

上が純正のプラスティックサドル、下が交換用の牛骨素材。
牛骨がアジャスタブルサドルの形に削り出された物が市販されているので、考え方によっては簡単な交換です。


 

 

ですが、アンダーサドルタイプのピエゾが後付けで搭載されていたので、少しややこしい加工となりました。
サドルスロットを埋め→開け直しという手段もありますが、オーナー様の使用予定に納期が間に合わない事もあり、現状の仕様で最適な状態を目指す事になりました。
 

 

削り。

ピエゾ素子とサドル底面の密着性が重要です。

 

 

 

捨て弦と純正ナットを使用し、仮組み。
ナットの設定が出ていないので、逆算しながらサドルの設定を出します。

弦高調整用のローレットがプラスネジに変更されています。
結果的にはこの仕様である事が理にかなっているので、流用させてもらいました。
アジャスタブルですが、弦高調整はしないで下さい仕様。


サドルの設定が出ましたので、ナットを交換します。
 

 

上が純正牛骨素材。
同素材である牛骨への交換ですが、弦間ピッチやフレットまでの距離を最適な設定に修正します。



 



 

 
捨て弦をそのままに、交換作業を行いました。

ナットやサドル交換、ピックアップ取り付けの際、加工と確認の為に何度も弦を緩め(時には外し)てはチューニングを繰り返します。
どうしても弦が劣化してしまうので、当工房では作業専用の弦を用意します。

お客様ご希望のゲージと同じ物を仮に張り、ギリギリまで設定を詰めた後に正規の弦を使用し負担をかけない程度に最終調整を行い、弦に劣化の無い状態で納品させて頂いております。


 

 

 


ナットの設定が出れば、実際の使用状況に近い形で音出しを行う事ができます。
パワードスピーカーを使い、できる限り加工されていない音を出力し、確認。

ギター専用アンプに比べ音の隠蔽力が低い気がするので、アコースティックのサウンドチェックにはこのスピーカーがお気に入りです。
いやらしいほどに"そのまま"な音が出力されるので、不良があればすぐに、おかしい!と気づく事ができます。

出音も問題なく、明瞭に鳴っています。


 

 

捨て弦を処分し、仕上げに入ります。

ナット、サドル、フレットを中心に、全体を磨きます。

 

 


 

 

 

 



 

 

お客様ご指定の弦を張り、最終セットアップを行いました。



 

 

フレットの劣化によるバズが一掃された事はもちろん、ナット / サドルの交換を行った事により、この個体が本来持つ、荒々しくも奥行きのある鳴りを取り戻しました。
研磨に時間を割いたハカランダ指板も風格を増し、高級感を漂わせています。

ご依頼いただき誠にありがとうございます!
ご満足いただけましたら幸いです。
 

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