ミニハムバッカー製作
当工房では、ピックアップもハンドメイドにしております。
シングルコイル、ハムバッカー、ジャズベース、プレシジョンベースは軸となるモデルが完成したので、少しめずらしいピックアップの開発を始めました。
ミニハムバッカーです。
ハムバッキング構造によりノイズも少なく、スタンダードなハムバッカーより歯切れが良くて、歪ませても音が潰れにくいというイメージのピックアップです。
ファイヤーバードやレスポールデラックスといった少しマイナーなギターに搭載されていたため、あまり日の目を浴びることはありませんでしたが、とても優秀なピックアップであるように感じます。
さっそく製作にはいります。

ミニハムバッカーの材料はこちら。
今回はエナメル被膜43AWGのマグネットワイヤにアルニコ2のマグネットを使用します。
ビンテージ風の仕様です。


専用のコイル巻き機にボビンを取り付け、マグネットワイヤを巻きつけていきます。
ムラができないよう均一に巻いていきます。
指の力の入れ具合で巻きつけられハリの強さもかわり、音も変わってしまいます。

コイル完成。
ハムキャンセルできるよう、逆巻きのコイルを作ります。

マグネットワイヤの巻き始めと巻き終わりに配線材を取り付けていきます。
わかりやすいように、巻き始めは黒、巻き終わりを白にしています。

結線ができたら、コイルに保護テープを巻きつけます。
マグネットワイヤは髪の毛よりも細く、すぐに切れてしまうので、慎重に作業を行います。

ここまで完成したらいよいよ組み込みです。
一方のホットとコールドを繋ぎます。
残ったホットを配線材の芯線へ、コールドを配線材のシールドに繋ぎます。
CW(時計まわり)テープが見えていますね。
うちのピックアップはすべて「巻き始めがコールド、巻き終わりがホット、CW巻きでトップがS極の設定を正する」というルールにしています。

結線が終わったら、ベースプレートにのせ、保護テープを巻いていきます。


最後にピックアップカバーの取り付けです。
ハンダがのりやすいよう、サンドペーパーで研磨キズを付けます。

ベースプレートとピックアップカバーをハンダで取り付けます。
ここがしっかり止まっていないと、共振してハウリングの原因になるので、丁寧にハンダを流していきます。

完成です。

ミニハムを取り付けられるギターがないので、不細工ですがとりあえずハムバッカー試奏用のレスポールに取り付けサウンドチェックを行います。
ここにつけるとスタンダードなハムバッカーとの大きさの差がわかりますね。
今回は完全に試作品です!!
これを基準に、巻き数や素材を試行錯誤します。
音を聞いては分解して、違う仕様で作り直してを繰り返し、納得のいくモノを仕上げます。
そこまで仕上げて、はじめて秋元、福森に弾いてもらって、意見をもらって、また作り直すの繰り返し。
ここだけの工程をへて、シングルやハムバッカーは完成しました。
このミニハムバッカーも、本当の完成と呼べる日はもう少し先ですが、みなさまの元のこの音が届く日が待ち遠しいです。
秋元が現在製作を進めているオリジナルモデルに、ミニハムを搭載予定です。
ElevenGuitarsの作り出すサウンドを、どお楽しみにしておいてください。