- 岩崎
パッシブ化 Fender Active Bass

今日はアクティブ回路が搭載されたベースをパッシブとしても使用できるようにする改造をご紹介します。
アクティブベースとは、楽器本体にプリアンプと言われる、音をブーストやカットできる回路が内臓されているものを言います。
プリアンプにもいろいろな仕様がありますが、高音と低音を個別にコントロールできる2バンドEQ(イコライザー)タイプと、高音、
中音、低音を個別にコントロールできる3バンドEQタイプが主流です。
演奏したい曲や、奏法に合わせて手元で音色を作ることができます。
また、アクティブベースはノイズにも強いです。
プリアンプから出力する際に、ローインピーダンスと言われるノイズの影響を受けにくい信号に変換します。
そのため、ステージ等で長いシールドを使用しても、外部ノイズが乗りにくい状態となります。
一方パッシブベースは増幅回路等を用いず、ボリュームコントロールと、トーンコントロールのみ、というのが主流です。
ブースト可能でパワーがあり、手元での音作りも可能、なおかつノイズが乗りにくい。
上記を読んで頂ければ、アクティブベースがどれほど優秀かお分かり頂けたと思います。
では、なぜわざわざパッシブ化するのか。
利便性だけでいえばアクティブが圧倒的ですが、増幅回路が搭載されているため、ナチュラルな音を出すことが難しくなってきます。
ちょっとした力加減でのニュアンスなんかを表現しにくくなります。
また、アクティブは電池がなくなると、音が出なくなってしまうものも多く、常に電池の残量に気を使う必要があります。
このように、パッシブ、アクティブ双方にメリット、デメリットがあります。
じゃあ、両方使えればいいんじゃない!?
はい、前置きが長くなりましたが、作業工程をご紹介します。

このベースはマスターボリュームとマスタートーンにスタックタイプのポットで高音と低音、そして単独のポットで中音をコントロールできる、3バンドEQのプリアンプが内臓されています。

まずは、回路を確認します。
ピックアップ自体にアクティブ回路が組み込まれている場合、パッシブ化できないこともあります。
配線がごちゃごちゃしているものの、シンプルな回路になっていました。
複雑な回路の場合は回路図や、配線図を作成したり、取り寄せることもあります。

パッシブ化に必要な配線のみ、丁寧に外していきます。

ただのパッシブ化ではなく、スイッチを増設してパッシブ、アクティブの切り替えをできるようにします。
使いやすさと、空いているスペースを考慮して位置決めを行います。
位置が決まれば、ボディーにドリルで穴を開けます。
既製品への後加工は何度やっても緊張します。
慎重に作業を行います。


無事、貫通しました。
開けた穴からの塗装剥がれや塗装浮きを予防するために、面取りを行います。

開けた穴にスイッチを取り付け、配線を繋いでいきます。
同時に配線の整理を行いました。
スッキリ

じゃん!!

手元のスイッチ一つでパッシブとアクティブ切り替え可能。
イメージに合わせて曲ごとの切り替えはもちろん、ベースソロやスラップなど、曲中でも必要に応じて使い分けができます。
同じ曲の演奏でも、音のバリエーションが増えると、楽しさも増えるのではないでしょうか?