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メンテナンスに関して

March 6, 2016



弦楽器をお持ちのみなさま、ほとんどの方は弦の交換をご自分で行っておられると思います。

弦交換の際、毎回指板用オイルを塗っているというメンテ大好きな方にオススメ!
当然古い弦を取り外し "弦が張られていない状態" があると思うのですが、その状態が大チャンス。
"ついで"に比較的簡単に行える、少し突っ込んだ内容のメンテナンスをご紹介させていただきます!


弦交換のついでと言っても、毎回行う必要はありません。
年一回程度の施工、あとは弾く度に乾拭きを行っていただければ、良い状態が維持できます。

 

では、中古で入荷した楽器を例に、画像を交えながら…
 

 

施工前の指板面です。

中位クラスの価格帯のモデルで、指板材の品質も高くはありません。
生産国が明記されていない時代のモデルですが、各部の仕上げ方から、恐らく中国工場生産かなと思われます。
汚れがチープ感を引き立てています。



 



あまり手入れはされていない様で、フレット周りは白く汚れています。
フレットエッジ付近には黒い汚れの塊が…
これらは主に、皮脂+ホコリ+汗+ケミカル類のスペシャルコンボなのですが、長年の蓄積により硬化し、ちょっとやそっとでは除去できない非常に頑固な汚れに成長しています。



指板自体も、全体的にくすんだ様な印象を受けます。
表面に触れるとカサカサとした手触り。
指板の油分が抜け、非常に乾燥している様です。

この様に写真で紹介すると余計に強調されて見えますが、当工房に持ち込みいただくほとんどの個体がこの様な、もしくはさらに進行した目も当てられない状態だと言っても言い過ぎではないと感じます。
指板の乾燥によるひび割れやフレット浮き等、無視できない不良が起こる可能性が高く、早急な対策が求められます。



今回のブログでは、"簡易的な方法でこの窮地を脱しよう!!"
的な内容でのご紹介ですので、先にも述べました指板のひび割れやフレット浮き等、発生してしまった症状を軽減する事は出来ません。あしからず


そうなるまえに!という、ある種危機感を持って見ていただくと、そこまで面倒な作業ではないかと思います。
また、中〜長期的なお預かりの修理品を対象に、当工房で施工させていただいている作業の簡易版でもあります。

 




用意するもの

・弦交換セット
 
これは普段お使いのもので

・指板専用オイル
 今回の作業の為にはなるべく粘度の高いものが良いですが、市販の指板用オイルならば何でも良いと思います。
 "レモンオイル"や"オレンジオイル"等、聞き馴染みのある方もいらっしゃるかと思いますが、それです。

・筆
 これじゃないといけない!という様な物はありません。
 ただ、大きすぎると細かな作業に向かないので、平筆で筆先が6mm程の物が適していると思われます。

・布
 綿の物が用意できれば綿を、無ければティッシュやキッチンペーパーでも可。
 指板面に塗ったオイルをしっかり拭き取りますので、繊維自体が木材より硬く、細かな傷が出来てしまう恐れがあ
 る化学繊維は避けてください。
 Tシャツが一番簡単に用意できるのではないでしょうか、タグに綿100%と記載があり、暫く着ていない様であれば
 切り刻みましょう!
 淡色系を使う事で汚れが可視化出来、作業中のテンションが上がります。

・歯ブラシ
 使い古しでも問題ありませんが、毛先が丸くなっている物はNG。
 "やわらかい" "極細" がキーワードです。

 
・爪楊枝 / 綿棒
どんな物でも問題ありません





※注意

オイルを通常よりたくさん使用します。
楽器本体や床、カーペット、洋服などに付着するといろいろと厄介なので、汚れても良い環境を作った上で作業に取り掛かることをお勧めします。

当工房での施工の際、ネック・ペグ等の着脱可能部位は全て外した上で作業を行いますが、ある程度の専門知識がないと組み込みでバランスが狂います。
簡易的な方法ですので、パーツを取り付けたままでも施工は可能です。
オイルが飛散しない様、注意して作業をして頂き、各パーツの取り外しは自己責任でお願いします!

ローズウッド・エボニー指板等、無塗装で仕上げられた指板面にのみ有効な手段です。
作業対象個体の仕様を確認の上、作業を行ってください



では作業へ!

 

 


 

 



筆を使い、弦を外した指板面に指板用オイルをたっぷり乗せます。
塗るというより、"のせる"イメージ。

指板が過乾燥状態である場合やオイル自体の粘度にもよりますが、すぐ染み込んでしまいますので、指板表面に膜が出来るくらいそれはもうたっぷりと。
指板全体にまんべんなく塗布できましたら、そのまま30分〜1時間程度、浸透する様にじっくり待ちます。
ただ指板にオイルを塗るだけではなく、浸透させるという所がポイントです。


使用オイルにオリーブオイルを推奨しておられるサイトがあるという事を耳にした事がありますが、オリーブオイルは不乾性〜半乾性に分類される油ですので、指板面には絶対に使用しないでください。
永久にベトつきます!
たとえ植物由来であっても、食用油は基本的にNGだと思っていただいて問題ありません。








少し営業を…

市販の指板オイルは粘度が低く、流れやすいのでこの作業には向かない物が殆どです。
当工房では、自家精製したリンシードオイル(亜麻仁油)を使用しており、少量ですが店頭でも販売させていただいております。




 

 



700円です(税込)




 

 


700円です!!(50cc)

ヨウ素価指数175〜195、完全な乾性油です。
香料無添加ですので臭い残りもなく、安心してご利用いただけます。







…すこし商売人感が出てしまいましたが、指板保湿・汚れの除去等、焦点となる能力は市販の物と大差ないので、お好きな物をご用意ください。




 

 

 

オイル塗布後30分。

たっぷりと乗せていたオイルが染み込みました。


過剰に浸透させる必要はないので、オイルが退いて木肌が見えてきたかなーという所で次の作業に。

 

 
指板面を軽く拭き取り、染み込みきらなかったオイルを除去した後、歯ブラシを使いこびり付いた汚れを掻き出します。

決して力をかけず、木目に沿って行いましょう。
歯ブラシを指板に添える程度の感覚で、フレットと垂直方向に、小刻みに。
"汚れを除去しないままオイルを塗りこんで終わり"を繰り返しても汚れの上塗りになりますので、この工程でしっかりと除去しておきます。

先に塗っておいたオイルにより、汚れが軟化していますので、思ったより少ない力でも十分に汚れの除去が可能です。
この作業が周辺へのオイル飛散リスクが一番高く、注意して行う必要があります。

 

 


歯ブラシで落ちない汚れは爪楊枝や綿棒を使いピンポイントで取り去ります。
くれぐれも慎重に、深追いは厳禁です!

歯ブラシで殆どの汚れを除去することが可能だと思いますが、状況に応じ使用してください。




指板全体を確認し、残った汚れが無ければ布で拭き上げ。


 

 
しっとりとした質感になり、汚れのこびりつきもほぼ無くなりました。


ローズやエボニーが指板材として使用されている場合、殆どが無塗装で仕上げられています。
濃色系の材ですので汚れが目立ちにくいだけであり、実はものすごく汚れています。

もう一度、施工前の写真を。

カメラの設定、照明の位置は全く同じです。
いかに汚れていたか、また、効果的な汚れの除去・保湿が行えたかがお分かりいただけるかと思います。

 







 

 
弦を張り、完成。

しっかりと浸透させているので、オイルが落ち着くまでベトつきますが、丸1日程度置いていただければ収まります。


まだまだ先ですが、ジメジメ暑い季節がやってきます、今のうちにこの処置を行うと指板への汗の侵入や汚れの付着が最小限に抑えられ、不意の故障を未然に防ぐ事が出来ます!

すこし手を加えてあげるだけで、楽器への愛着も一段と増します。
日々の使用で少しくたびれた愛機、労わるつもりで作業してみて下さい。
 

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