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フレット交換 STERLING RAY34

March 2, 2016

 
コストパフォーマンスの高さが人気のスターリン。


今回はフレット交換(リフレット)のご依頼。
目視で十分把握が可能なフレットの浮きが散見され、ビビりや音詰まりの症状が出る箇所が多くありました。



 

 


ネックを取り外しました。
ボディはセットアップ時まで使用しないので別に保管、ペグも作業の邪魔になるので外しておきます。






 

 


フレット抜き取り。

喰い切りという工具を改造したものを使用します。
フレットが木に食い込んでいる部分を"タング"と呼ぶのですが、このタングには"スタット"と呼ばれるカエシが付いていますので、無理な力で抜き取ると指板を痛めます。
ローズやエボニーと比較すると、メイプル指板はそれ程神経質になる必要はありませんが、慎重な作業が求められる点は変わりません。




 

 



全てのフレットを抜き取りました。





 


トラスロッドの調整を行い、ネックの反りをストレートに近い状態にした後、12インチのRがついた専用のサンディングブロックで指板を削ります。
所々Rが崩れているので、矯正。
この個体はそれ程ではありませんでしたが、ネック自体に捻れが出ている事も良くありますので、この作業で修正します。

ゲージやスケールで指板面状態を確認しつつの作業、ペーパーの番手 ♯100からスタートし、最終♯600番で終えるようタイミングを見て段階的に進めます。
 

 


指板面の狂いの調整が完了!

 Rの狂いが無くなり、フレットを打ち込む準備が整いました。




 

 

フレットを適正なサイズにカットして…









 

 

 

ぐいっとプレス。
この後メタルハンマーでかるーく叩いて次のフレットへ。

色々な方法を試しましたが、当工房としてはこの方法が一番精度が出ると感じています。
ハンマーのみを使用しひたすら叩く方法も一般的ですが、振動で微妙に浮きが出たり、木が負けてしまい納品後不具合が起きたりと、良いイメージがありません。






 

 


フレットを1本打つごとにサイドをカット。

今回使用したフレットは"三晃製作所 SBB-213"、俗に言う国産フレットです。
ジェスカーやジムダンロップのラインナップもお選び頂けますが、前述の通り純正フレットの浮きが多い事から溝の状態が思わしくないと考え、フレットタングが他に比べ僅かに太い当製品を選択しました。





 

 

全てのフレットが打ち込まれました。


フレットを打つと、フレット自体が溝を押し広げ、若干ですが逆反りに動きます。
擦り合わせの工程に備え、もう一度ロッド調整を行います。


擦り合わせ+エッジ処理の工程に入るのですが、画像は撮り忘れています…!
丁寧に作業をしたとだけ想像してください…


 

 


擦り合わせ+エッジ処理後。
新品のフレットは見ていて気持ちが良いです。

当工房ではお断りしていますが、ギター / ベースのカスタマイズにレリック加工というのがあります。
人為的にキズや打コン、塗装の剥がれを付け、ビンテージの風格を再現するというアレ。
ふと、フレットにキズやヘコミ、サビを付けるレリック加工は聞いた事が無い、もし存在していたとしても成立し無いだろうななんて考えました。

ギター / ベースを構成する中で、誰もが新品が最上と考える唯一のパーツかもしれません。



 


純正塗装が指板面のみオイルフィニッシュですので、例にならってオイルフィニッシュ。
亜麻仁油+蜜蝋の自家製ワックスでツヤを出します。



 

お次はナット交換。

フレット交換を行うと当然フレットの高さが変わりますので、併せてナットを交換します。
ナット溝底面の深さを最適な設定にしておかないと、せっかくのフレット交換の効果が半減します。


ボディとネックをセットし、弦を張って行います。

 

 
ナットが出来上がりました。

ナットがメインパーツかのごとくビッカビカに磨かれているのはあまり好きではないので、個体の塗装の雰囲気に合わせ、半ツヤで仕上げ。
磨きたくなる気持ちはわかりますが要はバランス、磨く時は磨きますし、そうじゃない時はしっとり仕上げます。


 

 

 

 


各部拭き上げ・音を出してのフレットチェック。
フレットの高さが変わるだけで、各部パーツの適正設定は大きく変化します。
ナット〜ネックエンドに関してはほぼ新品状態と変わりません、セットアップが出しやすく、あらゆる弦高に対応するようになります。

サスティーンの向上やデットポイントの解消等、プレイヤーが感覚的に捉えている、細かなニュアンスに関しても改善が期待でき、弦楽器としての"本来あるべき状態"に戻す事が可能です。


 

 
ご依頼頂き誠にありがとうございます!

ご満足頂けましたらなによりです。

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